坂口流石書展

ごあいさつ

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この度は、私自身の節目として初めての個展を開かせて頂きました。

書を志して四十三年の星霜が過ぎ、魚谷松葉先生の下で習い始めたのが昨日のことのように思い出されます。先生は温厚な性格の方で、書の何もわからない私に、一つ一つ丁寧に心あるご指導を下さり、この先生でなかったならば今の私はなく、本当に良い師に恵まれました。
又、良き先輩同僚、良き友人に囲まれ、温かい心に触れて続けてこられたと感謝しています。
魚谷先生はよく「見て見飽きしない書をね」「見れば見るほど味わいのある書はいいね」と話され、私は『書とはそのようなものか』と思いました。
師木村知石先生からは、「心の書」「情」と言う言葉をお聞きし、情意を大切にされた温かい作品に惹かれました。又、「書は人なり」とお話され、門下生への愛情は深く、周りの人を区別しない度量の大きい先生でした。
  二十、三十代の時の、二人の師の相通じる言葉は、私の脳裏から消えることはなく、掛け替えのないご指導は私の書への考え方の指針になりました。書の道は深遠ですが、やはり『人なり』で、自身の内面を高めることが生涯の課題と思っています。恐れ多くも論語を主に書作しましたが、文意を考えますと制作に大変苦慮し、これでよかったのかと疑念を抱いています。
作品集を作ることは、裸の自分を露呈し形に残すことですから、大変気恥ずかしい限りです。自分自身の記録であり、又、これからの怠慢な心に矢を射るべく気持ちを引き締め、普遍性のある書を求めて精進を重ねて参りたく思っております。

今日まで多くの方々に温かく見守って頂きましたことを本当に有難く御礼申し上げますと共に、今後とも何卒よろしくご教導賜わりますよう、お願い申し上げます。


平成二十年十二月
坂口流石
坂口流石
坂口流石
日展作家
毎日書道展 審査会員
兵庫県書作家協会 参与
筆塚競書展 審査員
王鵞(おうが)書道会 理事長
王鵞誌 主幹
松流会 主宰

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王鵞書道会手本集